Junk DNA

元来料理の良否は、素材の良否がものをいうのである。「まずい」素材をうまいものに是正するという料理法は由来発明されていない。   -北大路魯山人

Sunday, August 27, 2006

冥王星を読む

冥王星が、8月24日にチェコの首都プラハで開催された第26回国際天文学連合(IAU)総会において、惑星から除外され、新たに惑星とは異なる「矮惑星」とされた。
矮惑星は、冥王星のほか、昨年米国が発見した「2003UB313」やアステロイドベルトの小惑星「セレス」が含まれる。
太陽系の最果ての星であった冥王星は、海王星の外縁部に拡がるカイバーベルト天体(KBO天体)のひとつということになったわけである。
ということで、マスコミは24日を挟んで喧しい状態にある。
昔、愛読した宮本正太郎氏の『惑星と生命』(講談社ブルーバックス、1975年)には「冥王星は惑星というより衛星クラスの天体である」と明記されている。このとき、宮本氏は冥王星の実態を精確に把握していなかった。「冥王星は衛星を持っていない。質量も半径も確かな数値は判っていない」と書いている。第一衛星カロンの発見は1978年、第二、第三衛星であるニクス、ヒドラの発見に至っては2005年を俟たなければならない。宮本氏が「ない」と書いても当然である。当初、質量も地球の数倍と予測されたが、近年の観測技術の進展によって月などの衛星よりかなり小さな天体であるkとが判明している。そうであっても、かなり古くから冥王星は惑星としての位置づけを(定義が不明確ながらも)疑われていたことがわかる。
それでも、日本の教師たちは冥王星を第9惑星として教えてきたし、占星術師らも冥王星を加えて星占いをしてきたわけだ。冥王星そのものがどうなるわけでもない。単に定義が変わったというだけのことである。人間の人生に惑星が影響を及ぼすはずもなく、故に惑星だろうが矮惑星だろうが、関係のない話である。そんなに冥王星の取り扱いが問題なら、アステロイドベルトやカイバーベルト、諸惑星の衛星を含めてすべてを対象としておけば無問題だろう。

さて、ディズニーがキャラクタの犬のプルートを七人の小人の8番目に列するという。プルートの名は、冥王星発見にちなむもの。冥王星は、米国が唯一発見した「惑星」だからだという。「矮」が小人の意であり、だから白雪姫に登場する七人の小人の一員に加えて、矮惑星への「降格」に「抗議」するのだそうだ。
冥王星が「政治的所産」なのかを示すものである。アリエル・ドルフマン、アルマン・マトゥラール『ドナルド・ダックを読む』(晶文社、1984年)がアメリカ帝国主義の表象としてディズニーを読み解いていったことを想起すれば、今回のディズニーの行為がいかにも政治的であるかは一目瞭然である。さらに付け加えれば、ディズニーの行為はダーウィンの進化論を拒絶するキリスト教原理主義者(ファンダメンタリスト)と同じであり、ひいてはご自分たちが忌み嫌うイスラム教原理主義者たちと五十歩百歩だと気づくべきである。
基本的にディズニーは文化の「改竄」者として知られる。「白雪姫」はグリム兄弟の「原典」を逸脱し、大きく「改竄」され、いままた犬を加えるという「文化破壊」を行なっている。笑い事ではすまされないのだ。
手塚治虫『ジャングル大帝』を「改竄」したアニメ映画『ライオン・キング』と、それを下敷きにしたミュージカルを嬉々として観に行き、東京ディズニーランドやディズニーシーへ行く、文化的奴隷の日本人のバカさ加減にはほとほと呆れ果てるわけだが、おそらく今回のディズニーの行為もまた、微笑ましい程度にしか捉えられまい。
なぜ、ウヨクの諸君はディズニーランドを「攻撃」しないんだ? あれは「侵略」の象徴だろうに。

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